精神症状と重力の三原則第212回2010年4月27日大阪日日新聞掲載

対人関係において孤立し自分だけの世界に閉じこもる者、内面優位の現実離脱者、現実との生きた接触を失う者が、30年ほど前から増加している。私が教えていた頃でも中学生の5人に1人が「引きこもり気味」だった。程度の差もあり、なぜこんな風になるのかわからなかった。

長い年月の課題でもある。元大学院教授のS氏は「男は争うことを目的として存在する。戦争が無くなった我が国では、男性は女性化していく。その為、気迫や覇気が衰え、本来の男性像から離れていく。」と言う。

そこで、重力の三原則である求心性、対抗性、規範性をあてはめてみた。求心性は内へ向かう力であり心である。これに対抗性(対向性)が働かなければ、どんどん内へと向かう。人間の精神も同じである。外への力や心が働かなければならない。重力の三原則によって人間を含む地上の全てのものが作られたというのが私の説である。

この3つがバランスよく保たれることが正常である。地球そのものが対抗性を無くしたら、規範性である自転や公転が崩れ、正確さを欠くだろう。1年365日、1日24時間では無くなり、求心性だけが残り停止状態となる。人間に置き換えると、家に閉じこもり、学校や会社に行くべき時間になっても外へ出ることを拒むだろう。

つまり規範性を無視していることになる。他者との対応が困難となり、対抗(対向)力を欠いている状態である。残る求心性は、他に求める心ばかり働き、どんどん拡大される。いわゆる「引きこもり」状態である。人間だけでなく動物を観察しても同じ状態である。

飼い主に心を求め続ける犬が、常に虐待を受けたとする。犬は求心を諦め、対抗的になって咬みついたりする。逆に、常に可愛がられた犬は、咬みつかず誰にでも尾を振って心を求める。このように精神と重力の三原則は結びついている。

このままでは私達は内側から滅びる。地球が止まり縮小された挙げ句、爆発するように。

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