人間の存在理由(重力の功罪10)第132回2008年9月16日大阪日日新聞掲載

人間の世界、動物の世界、植物の世界、海や山の世界。すべての世界を併せて一つの世界であり、自分自身そのものなのである。そして、もう一つの世界がある。われわれにとってかけがえのない地球と、その仲間であり兄弟でもある惑星たちの世界である。

惑星たちの結びつきは固く、強力な三原則でお互いを生かしあっている。前回の応用で、他の惑星から地球を見ると、地表にうごめく人間や動植物が主体ではなく、地球そのもの、岩石の塊そのものが主体であり自分たちの仲間である。惑星たちから見れば最も大切なものは、生命ある人間や動植物ではなく、万物の根源をなす究極的要素としての元素や地殻などを形成する岩石の方なのである。

生命あるものが最も大切だと思っているわれわれ人間からすれば驚くべきことである。しかし、惑星からすれば己の肉体である元素や岩石の方が大切なのは当たり前のことである。「なぜ人間や動物が他の生きた細胞を食べなければ生きられないのか。なぜ砂や土、岩石などを食べて生きられるようにできなかったのか。そうすれば悲しみや苦しみが減るのに」と考えた。

考え抜くと恐ろしい結論にたどり着いた。岩石や土、砂は新しく造れない有限のものであるのに対し、生物の肉体は雄と雌さえあれば(まれに分裂という方法でも)無限に造り出せるのである。ここの生物は二度と同じ生物として生まれないが、生物全体を一つのものとしてとらえると無限に勝手に増殖する都合のよい消費製品だということになる。

その上、われわれにとって価値のあるものは惑星たちの重力の世界では無価値であり、彼らにとって価値あるものはわれわれにとって無価値であると思わせるような仕組みになっている。考えれば考えるほど恐ろしいと思いませんか。

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人間の存在理由(重力の功罪10)第132回2008年9月16日大阪日日新聞掲載 への2件のフィードバック

  1. 三浦 里津子 のコメント:

    すみません差し出がましいことをお伝えしますが、元素やちかくの部分に誤植があります。
    地殻が近くになっています。

  2. admin のコメント:

    ご指摘、ありがとうございます。訂正いたしました。

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