普遍教育実践講座第245回「橋本知事へ直訴-5-」

このシリーズで述べていることは、思考だけでは捉え難い。会得と体得が必要であり、その上、感じとる慣れも必要とする。例えば、教師は最初に眼の前 にいる子どもたちを我が子と同じだと感じとる修行と訓練を積み重ね、その結果を出さなければならない。かつ、心構えとして次のことを念頭に置くことがス タートとなる。

すなわち、「ただ呼吸しているだけの生き方とは?」「ただ生きているだけの生き方とは?」「価値ある生き方とは?」「精神が完成された人間とは?」などである。このようなテーマを熟慮することで、絶え間なく考え自然に勉強を行い始めるだろう。

やがて、本人が驚くほど自分自身の変化を実感することができる。どんな微小な現象をも見逃さず、小さなことは巨大なことにつながると気づいてい く。そして、まだまだ人間の精神は未発達で動物や原始人と大差がなく、こん棒を振り回す腕力の時代が、核兵器に代わったに過ぎず争いが絶えない、と理解す る。

更に、どのように人間が動物と大差がないか具体的に把握する。例えば、数匹のライオンの家族がシマウマを倒し、競い合ってのどを鳴らしながらお いしそうにその肉をむさぼり食う時に「このシマウマに親や兄弟、あるいは子どもがいたのではないか、死にたくなかっただろう、恐ろしかっただろう、悲し かっただろう、激痛に耐えられなかったろうに」などと想いを巡らせてはいない。

これと同じく、人間の家族がスキヤキを大声ではしゃぎながら食べている光景は、全く同じであって動物の域から出ていない。動物の域から出ていな いということは、ただ生きているだけに過ぎず人間たる価値がない。シマウマの悲痛感を感じとり、ここに精神をもって境界線を設け、空白になっている心を培 い埋める作業=「他の心の痛みを感じとる能力」が教育の目標となる。

言い換えれば、自分や自分の子どもがシマウマと同じ立場になれば、悲痛感や恐怖感が変わらないと共有することにある。また、それが人間の存在理 由でもある。世界のひとりひとり、個々の中に、この心が息吹きさえすれば、今、全世界に発生している諸問題のほとんどが解決することは必至。でなければ人 間も含め地上の生物が絶滅するだろう。

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